学校長挨拶

「自然の中にすべての教科書がある」

福岡県立八女農業高等学校 校長 平田 陽一

八女農業高校のHPがリニューアルしました。あらためて校長としてご挨拶申し上げます。

毎年、この時期のあいさつの言葉として「今年も暑かったですね」という言葉ではなく「今年の暑さは昨年以上でしたね」や「夏の暑さに耐えられません」といった言葉が当たり前になっていることが、季節の変遷とともに農業や環境について学ぶ本校にとって少しばかり危機感を覚えます。農業高校での学びを進めているときに、「日光」、「気温」や「降水量」といった自然に関わる様々な現象について触れずに進めることは不可能です。みなさんは、二十四節気(にじゅうしせっき)という言葉を聞いたことはありますか。

多くの生徒さんはこの言葉に馴染みは少ないと思いますが、「春分」や「秋分」といった言葉はその意味も含めて知っているはずです。二十四節気は太陽の動きをもとにしています。太陽が移動する天球上の道を黄道といい、黄道を24等分したものが二十四節気です。そしてその節目にあるものが「春分」「夏至」「秋分」「冬至」というものです。

現在は9月です。9月は「秋分」を迎える時期に当たり、昼間と夜間の時間と同じになるというだけでなく、昼間の時間が徐々に短くなり夜間の時間が徐々に長くなることを意味しています。まさに夏から秋を感じる時期となり、豊作の便りが全国各地から届くことを期待されるばかりです。先人は、太陽の動きを農業と結びつけ、生きるための工夫を考えてきました。

また、9月は、様々な野菜類の栽培を始める時期ともなります。皆さんたちがよく知る「ハクサイ」、「キャベツ」、「ブロッコリー」をはじめ鍋料理に欠かせない野菜の苗が定植される時期ともなります。1学期、1年生は見事な「スイートコーン」の収穫を終えました。令和6年度がスタートしてすぐに取り組んだトウモロコシ栽培は順調に生育管理が進み素晴らしい成果を得ました。

初めて栽培する生徒も多いことと思いますが、教科書に書かれている通りに全てのことは進みません。農場に育つ植物や毎日の管理を進める動物の健康状態を確認することで様々な気づきが生まれ、試行錯誤が始まります。自然が教科書であり、日々の観察が教科書にかかれていることの確認であり、不思議が生まれてきます。農業高校での学びとは「日々、成すこと(まずやってみること)によって学びを深めていく」ものであり、何度も繰り返しやってみることで初めて身に付く力に育て上げることができるのです。

私たちは「自然」の中に生きていること。そして、「自然」についてもっと詳しく知ることで、先人が乗り越え、身につけてきた知恵の意味を理解することができるはずです。

私たちが普段目にする自然そのものが、これから私たちが生きていくためのヒントだと思います。

農業高校での学びは最高! 実物を見て、直に触れ、食べて生命の営みを実感できる実学を本校で体験してみませんか。本校での学びがあなたの可能性を無限に広げます。